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計測不可能なものに僕はつねに不安をおぼえる。僕の小説を書き始めた原因は、そのような変数的な精神の不安から自分を守る為、自分で自分の精神を計測してやろうという意思の発露であった。
自分の望む人生に確実に到達する手段はない。僕はそれを知らない。僕は自分の考える人生に到達せずに死ぬかもしれない。
しかし、完全な人生の所有のために費やされる努力を僕は所有している。努力は今、僕の手の中にあり、静かに寝息をたてて、眠っている。
もしこの美しい天使のような寝顔のおちびちゃんが目を覚ますようなことになったらどうなるだろう………
考えるだけでおそろしい、じつにじつにおそろしい。でも考えないわけにはいかない。考えることを放棄するわけにはいかない。
うん、たぶん、その時こそ僕は本当に死ぬのだろうと思う。その時こそ、僕の人生の暗示的なものはすべて滅び、僕の人生の一貫した創造力は消滅し、僕の目は夢から覚めることを強いられるのだろうと思う。遂に、さわがしい努力が目を覚ましたのだ!
僕は夢から覚めることを拒否するだろう。僕は、ただ生き延びるために、自分の大切な夢の世界の改ざんに手をかしたりしない。せっかく造った世界を自分の手で壊したりしない。僕は夢の世界に内側から鍵をかけるだろう。
とにかくこの世界はいちど覚めれば終わってしまう世界である。誰もがみんなそんな世界からの覚醒をこばむ権利がある。たたかう義務がある。
「あなたがたは夢の世界を守るためにたった一人で孤独に戦わなければならない。けっして投降してはならない。敵にゆずりわたすくらいなら死んでしまえばいい。そのときは絶対に死を選択しなさい」
僕はまだ戦うつもりである。僕はまだ戦える。僕は、僕は…。
もうこれ以上言うことはないだろう。結局は、おのれひとりきりの世界である。手助けの成立しない世界である。
「諸君の健闘を祈る。諸君の幸運を祈る。孤独に生きよ」
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